なぜチタンボルトを製作したのか。
それは強度部材として最高の素材であるチタンで、最高のバイクに仕上げたかったからだ。
チタンという素材はしなやかで比強度のある材料。これをボルトに使うことでネガティブな面を出さずに性能の向上が図れる。
レーシングユースのようにギリギリまで肉厚を削り限界域での性能を求めたのでは無く、日常域でのフィーリングの向上を求めた。
すべては快適なライディングのために。素材は全てASTM規格のGrade5 Ti-6Al-4Vという、機械部品に用いるチタン合金としては最高の素材。
この素材で無ければならない理由があるのだ。
単純に考えるならば、ボルトをノーマルからチタンに変更することでその重量を軽量化できる。
バネ下での軽量化、特に回転部分を軽量にすることは、回転質量の減少をもたらすために運動量の多い部分では想像以上の効果がある。それはブレーキ性能や走行安定性を向上させるのはもちろんだが、サスペンションの性能を大きく引き上げるために路面追従性が向上し、乗り心地の良さにも繋がる。
しかし、実はそれだけでは無いのだ。
ホイールボルトは、ホイールとハブの取り付け剛性を上げ、エンジンからのトラクションを正確に後輪に伝える。この連結部材であるボルトの引っ張り強度によってパワーの伝わり方が全く違う。
そして、この剛性がしっかりしているので、伝わったパワーを確実に伝えて正確に前に押し出すのだ。「きちんとまっすぐ走る」そして「アクセル開度に応じてきちんと前に出る」、この両方を感じ取ることが出来る。
そして、ブレーキディスクボルトはストッピングパワーを逃すこと無くホイールに伝える。このためダイレクト感が向上する。 ブレーキレバーを握り込んで行ったときの最後の最後で逃げる感じがなくなる。
また軽量化によって軽快なフットワークが実現する。前輪は、常にライダーが走行中に左右に微妙にハンドルを切って直進させながらバランスを取っているが、これがとても楽になる。フィーリングはしっとりとした上質な感じに。
ノーマルを、麻の生地を手のひらで触ったようなザラザラとした感触とするならば、チタンボルトに取り替えるとシルクの生地を手の甲で撫でているような、滑らかで上質な感じに変わります。
長距離を走ったときの疲労の低減にも効果があり、コーナリングも安心感が増す上に飛躍的に性能が向上します。
いずれも単にスペックを追い求めた軽量化だけでは無く、性能の向上やフィーリングの向上が感じられる部品なのだ。
・素材 チタン合金 Ti-6Al-4V
・ネジ部 転造による